はじめに
今回はクラウドワークス×SmartHR「出張!俺の仕事探し」〜クラウドワークスをアクセシビリティチェック – connpassで一部お話した弱視の見え方や弱視ルーペについて紹介していきます。
PCでの見え方や支援技術については過去の記事拡大鏡(ズーム機能)を使うとこんなふうに見えるで紹介しています。
弱視(がもちゃんVer.)の見え方
私は生まれつきアルビノで羞明があり、視力は0.08程度、視野は健常者の半分程度です。
羞明は眩しさを感じやすい体質のことで、日中外出した時には眩しさで目が開けられず、サングラスが必須です。屋内であっても日当たりが良い時には窓に向かっていられないことが多いです。例えるなら車のヘッドライトを眼前で浴びているような感じです。PCやスマホの画面でも白基調の画面では眩しさを感じます。見えなくなるわけではないですが、無理をして使い続ける時間が長くなることで眼精疲労や頭痛に繋がることがほとんどです。
視力については「0.08程度」と言っても様々な見え方があります。私の場合は2cm四方の文字を10cmくらい離れたところから読むことができます。ただし、この「読む」は「文字の形や文脈から言葉を予測できる」状態です。画数が少ないひらがな、カタカナ、数字は正確に読むことができますが、この距離では漢字を正確に読むことはできません。2cm四方の漢字を正確に読むためには3〜5cm程の距離まで近づく必要があります。見えているように見えてほとんどは生活経験からの勘です。ひらがなやカタカナであっても濁音、半濁音の違いは見落とすことが多いです。
遠くの物に関しては、ほとんど輪郭は見えていません。色の違いや周囲の人の会話から対象物や文字を予測しています。企業やサービスのロゴ等、見覚えのある物であれば予測がしやすいです。外でしっかりと見える物といえば、遠距離の人に向けて作られた看板を隣に立って見る時くらいです。
視野の狭さは説明しづらいですが、足元にある物によく躓く、目線より上の物(外であれば歩道にせり出した木の枝等)に頭をよくぶつける、壁や電柱に肩をよくぶつける等が生活で困る点です。視力が低いことに加えて視野が狭いことで歩行中は常に気をつかい続けていないと安全に歩くことができません。
PC画面やスマホ画面の操作は小さ過ぎず大き過ぎない画面の方が使いやすい傾向にあります。一度に見られる範囲が狭いと、画面が大きければ大きいほど見えない範囲が広くなるためです。14インチのPC画面であっても頭や体を動かして上下左右に動かして狭い視野を補っています。
長々と書きましたが、見出しに「がもちゃんVer.」とあるように、弱視と言っても見え方は様々です。暗い場所で見えづらさがある夜盲の方や、遠くの物がよく見える方、視野の一部が大きく欠けている方、スクリーンリーダーを併用している方。一人として同じ見え方の人間はいませんので、がもちゃんの見え方は弱視の見え方のほんの一部として考えてもらえれば幸いです。
弱視ルーペとは
ルーペ、弱視レンズとも言います。100円ショップ等でもルーペとして商品が売られていますが、倍率は1〜3倍程度です。一方、弱視ルーペの倍率は4〜12倍程度で、手で持ちやすい物、携帯しやすい物、卓上に置いて使う物等、様々です。私は6倍の手持ちルーペを使用しています。
凸レンズは一度に見られる範囲が狭く、一度に見られるのは1行のうち3〜5文字程度ずつです。ちなみに弱視ルーペの正しい使い方は対象物とレンズと目をできる限り近づける見方です。レンズと目を近づけることでレンズ越しに見られる範囲を最大限に広げることができます。
弱視ルーペにはライトがついている物がありますが、これは凸レンズの性質や頭部で光源を遮ってしまうことで手元が暗くなるためです。ただ、スマホ等を見る場合には必要ありませんし、対象物の素材によっては光沢等で反射が起こりかえって見えづらくなることもあります。


スマホやPCの環境設定
弱視ルーペの使用に加え、スマホやPCの設定自体を変更して自分が見やすいようカスタマイズしています。
画面をダークモードにすることで目への負担を減らし、テキストサイズを大きくすることで弱視ルーペで視認ができるように設定しています。
私の場合はレイアウトが崩れないことを優先して設定をしているため、フォントサイズは大きくし過ぎないように調整しています。レイアウトが崩れないことで使用方法を検索したり他者に質問をする時に確認や質問がしやすくなります。
スマホの環境設定
ダークモードに設定する
①「設定」から「画面表示と明るさ」を開く

②ダークモードを選択する


文字サイズや太さを変更する
①「画面表示と明るさ」の「テキストを太くする」をONにする
②「テキストサイズを変更する」を開く

③「テキストサイズの変更」画面の下側、スライダーで文字サイズを調整する

さらに大きな文字
普段、自分は使用していませんが、さらに大きな文字サイズにすることもできます。
①「設定」から「アクセシビリティ」を開く

②「画面表示とテキストサイズ」を開く

③さらに大きな文字をONにし、スライダーで文字サイズを調整する

スマホのズーム機能
イベント中は設定しませんでしたが、スマホでのズーム機能も使用する場合があります。弱視ルーペがすぐに用意できない時や外出先で弱視ルーペが使用できない時に便利です。例えば外出先で弱視ルーペを机上に出した場合は忘れるというリスクがあったり、商品棚の近くでルーペを取り出すために荷物を漁るのは誤解を生んだりします。そういった時にスマホのズーム機能が役に立ちます。
ただ、スマホのズーム機能は操作が難しく、Webサイトやアプリのデザインによっては誤操作をしてしまうことが多くあります。ほとんどがボタンで構成された画面や、横スクロールが多用されている画面ではズーム機能を使用しづらいです。
「アクセシビリティ」から「ズーム」を開き、ズーム機能をONにする

それ以外にもたくさんの設定ができます
アクセシビリティの「画面設定とテキストサイズ」からは色の反転やコントラストの調整等たくさんの設定ができます。ズーム機能の設定もカラーフィルタをかけたり拡大の仕方を変更したり様々な設定が可能です。
また、アクセシビリティの「読み上げコンテンツ」はコンテンツのみを読み上げるのに便利で私も目が疲れている際には使用しています。VoiceOverのように操作方法が切り替わらずに画面上の文字だけを読むことができ、「UIの位置をなんとなく見られる、もしくは覚えていてタップ操作ができるが文字は読めない」という時に便利です。
PCの設定
ダークモードの設定
「設定」の「外観」項目から外観モードを「ダーク」に設定します。この設定をすることでダークモードに対応する一部のアプリにもダークモードが適用されます。

サイドバーのアイコンサイズを設定する
上のスクショ内、「サイドバーのアイコンサイズ」から設定画面のサイドバーの文字サイズを調整します。
普段は常に「大」にしていますが、比較のため上のスクショではサイズを「大」、下のスクショでは「小」に設定しています。

ポインタ(カーソル)の設定
①「設定」の「アクセシビリティ」項目から「ディスプレイ」を選択します。サイドバーにも「ディスプレイ」項目がありますが、こちらはPC全般の解像度の変更をする画面です。解像度を変更することでも文字が大きくなりますが、UIの大幅な見切れが生まれるのでおすすめしません。

②「ポインタ」のセクションからポインタの設定をします。
PCの操作をするうえでポインタが行方不明になることは大きな負担になります。そのためポインタを見やすくしておくことを大事にしています。

ポインタの色についてはイベントで紹介しましたが、大きさについては操作の邪魔にならない大きさを選択しています。ズーム機能を使うことでポインタも大きく表示されるため画面いっぱいにポインタが表示されて文字やクリック範囲が隠れてしまうことを避けています。また、ポインタが大きくなってもクリック範囲は変わらないため、ポインタを大きくしすぎるとポインタの先端とクリック範囲の位置関係が掴みづらくなります。
ちなみにスクショにはポインタのサイズは反映されません。
文字サイズの変更
「アクセシビリティ」の「ディスプレイ」からテキストサイズを変更しています。
ちなみに、ここで言うメニューバーはMacの画面上部に出るナビゲーションバーの部分です。「大」に設定すると僅かに、ほんの少し、ちょっぴりメニューバーが大きくなります。

イベントでもお話した通り、PCでも文字サイズはレイアウトが崩れない程度のサイズを選択しています。普段、ズーム機能を使わずに画面を見ることはほとんどありません。そのためズーム機能で見やすい、レイアウトが崩れないことを優先にしています。

拡大鏡
詳しくは過去の記事拡大鏡(ズーム機能)を使うとこんなふうに見えるをご覧ください。
おわりに
長くなりましたが、今回紹介したのは一部の機能です。弱視には様々な見え方があり、使用する支援技術や機能も一人一人違います。また、システムのアップデートでも多くの変化や機能の追加があります。私以外の弱視の方の見え方や使用している機能もどんどん知っていこうと思います。