『出張!俺の仕事探し』でユーザビリティチェックをしてきました

Webアクセシビリティ

はじめに

2024年11月22日、クラウドワークス×SmartHR「出張!俺の仕事探し」~クラウドワークスをアクセシビリティチェック – connpassに参加し、弱視ユーザーとしてユーザビリティチェックをしてきました。この記事では、チェックの感想をお話します。

思考発話で気をつけたこと

今回、私は初めて他社が関わるオフラインイベントに参加させていただきました。これまでオンラインで社内研修をする機会はありましたが、オフラインでのイベントは初めてでとても緊張していました。イベントまでにしたことやイベントで意識していたことを紹介します。

イベントまでにしたこと

実は当日までに特段変わったことはしていません。

「俺の〜」シリーズの先輩である辻さんのこれまでのデモ動画や「俺の〜」イベントのアーカイブを何度か見させていただき、発話の仕方を研究しました。

また、辻さん本人にどんなところを意識していたか、事前に機能を確認したか等の質問をさせていただきました。辻さんが丁寧に回答してくださり、次のことを意識するようにしました。

とにかくリラックス!「試験をされているのは自分ではない」と意識

ご助言をいただくまでは「失敗してはいけない」「変なことを言ってはいけない」というプレッシャーが無意識にありました。しかし、「困った」を伝えることも重要だということ、テストされているのは自分ではなくプロダクトであることに気づいてからはリラックスして発話ができるようになりました。

また、Smart相談室を利用して「どうやったらリラックスできるか」「なぜ緊張するのか」を真面目に考えました。カウンセラーさんと話しているうちに「即退場になるような失敗はそうそう起こり得ない」ということに気づき、ほっとしました。

不安や悩みを言葉にすることで、テスターの先輩方やスペシャリストの方々からもたくさんの励ましの言葉をいただけたのもリラックスに大きく繋がりました。

リラックスをして、初めてサービスを触るユーザーの立場になって考えることで、困り感や気付きを発話しやすくなりました。きっと緊張して闇雲に練習をして当日に挑んでいたら伝えられない困り感や気づけないことがたくさんあったかと思います。

当日はお仕事を探すユーザーの気持ちになって操作をすることで自分自身もわくわくしながらテストをすることができ、気付いたことを素直に伝えることができました。

論理的に話すことを心がけました

テストをするために操作をする前に、これから何をしたいか、そのためにどんなことをしていくかを説明するようにしました。masuP9さんからも「操作と説明を同時にせず、説明後に操作をすると良い」というご助言をいただいていました。
例えば「(予想)だから、(期待する動き)するために、◯◯を実行します」のように、視聴者が行動の意味を理解できてから操作をするように気をつけました。具体的には、ダイアログを展開する時にも「〜の情報がドロップダウンに書かれていると思うので、展開してみます」のように何を期待して操作しているのかを完結に説明するよう意識しました。

これは日常生活の中でパートナーに聞いてもらいながら、見えるものや見えづらいものを言葉に出し、伝え方を練習しました。

「困った」だけでなく「わかった」も言葉にする

辻さんのデモを見て気付いたこととして、「困った」以外にも、操作が順調に進んでいる時に「何がわかっているか」を言葉にすることも重要だと気づきました。特に、弱視の私の場合、スマホ操作では「①裸眼で全体を見て見るべき場所を探す」→「②弱視ルーペで細かい部分を見ていく」という流れで物を見ているため、裸眼の状態でどんな物が見えているのか、見えていないのかの説明を大切にしました。PC操作でもどんなUIを探しているのか、視認できた文字やセクションはどんなものかを言葉にするようにしました。

開発者やデザイナーへのリスペクトは忘れない

普段テストをする中でも常に意識していることです。自分がテストするプロダクトには時間をかけて制作に携わった人がいることを忘れないようにしています。

自分はWebサイト制作について少し勉強をしているだけですが、Webアプリ制作やバックエンドの整備、デザイン、広報等、たくさんの労力がかかっていることを意識して発話するようにしています。特に問題点をあげる時には「~がダメ!」といった漠然とした言葉ではなく、どのようになるとより良くなるのかを伝え、開発者やデザイナーが「改善しよう」と思える言い方を心がけています。

イベントの感想

ここからはクラウドワークスを実際に操作してみて思ったことを書いていきます。

まず、全体を通して重要なボタン(応募する等)は視覚的にわかりやすくなっていて、「仕事を探して応募する」という流れにおいては困ること無く操作できそうだと感じましたし、ボタンの大きさも十分ありました。絞り込みなどの便利な機能も多く、離脱したくなる要素は感じませんでした。

私の言う「重要そうなボタン」は、可視ラベルが読めず輪郭が視認できない状態でも色・大きさともに他ボタンと差異が感じられる物を呼んでいます。色はページ背景色と明確に違う配色で、彩度が高い色ほど見やすく感じます。デザインは枠線のみよりはボタン背景色がある方が見やすく感じます。大きさは他のボタンより大きく、面積が広いと視認しやすいです。

見落としやすいボタンと探しやすいボタンの例
クラウドワークスの「応募画面へ」ボタン
クラウドワークスの仕事を探す画面

気になったこととしては、画面の中の情報量が少し減るとさらに操作に迷いづらいと感じました。例えば、絞り込みメニューは非常に便利ですが、ズーム機能を使っている時には絞り込み機能が先に表示されメインの情報に辿り着くまでに時間がかかりました。
メインの情報を最も左に配置することでページ遷移後にすぐメイン情報を確認することができ、操作性が向上しそうだと感じました。

ズーム機能を使って見たクラウドワークスの画面
クラウドワークスの画面、絞り込み機能をページ右側に移動すると見やすいという例

もう一点、クリック回数を減らすことができる構造にするとさらに使いやすさが向上するのではないかと思いました。マイページから直接仕事を検索できる検索ボックスを設置したり、お気に入り一覧から応募ボタンを押せたりできると操作回数が減って操作の負担がさらに軽減するかもしれません。

クラウドワークスのマイページ画面。検索ボックスがあったらいいなという例
クラウドワークスの気になるリスト画面。求人応募ボタンがあったらいいなという例

ライティングやアンケート等、見えづらさがあってもできる副業をしたい視覚障害者は多いのではないかと予想しています。私も学生の時に放課後等デイサービスでバイトをしていましたが、運転免許も取得できず、できることが限られると給料も安くなりがちで「ライティング等ならできないか」と考えていまいた。

世間では障害者採用は一般の採用よりも給料が少ない企業が多くあります。視覚障害者が専門としているあんまマッサージ・鍼灸・指圧も国家資格であるにも関わらず十分な報酬があるとは言えない状況です。もっと仕事をしたい、もっと稼ぎたい視覚障害者にとってクラウドワークスさんは希望だと思います。

改めて、クラウドワークスさんのイベントに参加ができ嬉しく思っています。自分の見え方を伝えるだけでなく、晴眼者の方の見え方とも比較ができ、気付きが多くありました。

懇親会も初めてで、たくさんの方の働き方やキャリアを聞き、自分もキャリアを考えるきっかけになりました。

今後も思考発話のスキルを向上させ、機会があればどんどんユーザビリティチェックに挑戦したいと思っています!

イベント準備をしてくださった全ての皆様、来場してくださった皆様、オンライン視聴をしてくださった皆様、改めて、本当にありがとうございました。

次の記事ではチェックの際に少しお話した環境設定をご紹介します!

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